「私たちは今でも進化しているのか?」の感想

alt text

書名:私たちは今でも進化しているのか? 著者:マーリーン・ズック Marlene Zuk 訳者:渡会 圭子 出版社:文藝春秋 原本出版年:2013 訳本出版年:2015

題名で惹きつけられてしまった本。翻訳本とかでもとの題名を変えてこういう疑問形にしてるのはたまにあるけど結構、いい題名だよなあと見るたびに思う。この本の原題は「PALEOFANTASY」でこのままだと普通に意味わからない本になって売れないだろう。「私たちは今でも進化しているのか?」はこの本の中の最後の章の章題である。この本から採用しているのもなかなかにいい。あくまで題名を変換するとはいえ著者の意思は尊重するという意味でかなりいい。とはいえこの本の問題点としてまるで日本の題名だと進化についての本のような気がしてしまうが実際、これはパレオファンタジーという石器時代の生活に憧れるような運動?思想?についての本である。進化学には期待しないようにしよう。という意味ではあまりよくない題名かもしれない…そういうところには文藝春秋の節操のなさが見え隠れする。

ここまで内容に入らずにつらつら題名について語ってしまったのでここからちゃんと振り返り。

この本では原題のPALEOFANTASYが主題である。これは石器時代の生活にもどろうよ、的な運動、考えである。自然派主義みたいな感じ。それに対していやいや、人間も変わってますが、石器時代がいいとも自然の生活が健康にいいとも限りませんがという話。アメリカとかで日本よりもそういう活動が2013年くらいに活発だったのだろう。たぶん。少なくとも約10年がたった今は昔よりはそういうのも落ち着いてると思われる。それよりも人権だーなんだーっていう声が大きくなってしまってこれはこれでいいのか、とは思うが。

本の内容についてはやはりそういうテーマなので学術的な話だけでなくよくわからない人のよくわからない主張も色々紹介してくれる。そのうえで学術的な話もしてくれるのは結構いい。著者の人はしっかりアカデミア側の人なので冷静にわかっていること、わかっていないことを分けて書かれている。ただ途中から科学的におかしい主張、裏付けが殆どない主張を読むのにだんだん疲れてしまった。

結論的には石器時代に適応しきっているわけではないしそもそも変化し続けるものなのでパレオファンタジーはほとんど意味ないよって感じかな。