「愛するということ」著:フロム の感想

エーリッヒ・フロムの「愛するということ」の感想まとめ。

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かんたんな内容紹介

この本は題名の通り愛するとはどういうことかを取り上げています。勘違いしてはいけないのは恋愛本などのような薄っぺらいものではない、ということ。

まずはじめに愛する、というのは技術であるというところから始まります。これはよくわからないかもしれません。なぜなら基本的に人を好きになるなんて意識的にするものではなくなんとなく好きになってく感じでしょう。もちろんタイプの人とかはいるかもしれないけれど。

この愛することが技術であるというのはなぜなら愛することには自分を客観的に捉え、ナルシシズムやサディズムに陥らずに正しく相手を見つめることが必要であるから。これはあくまで一側面ですがこのような説明がされています。もちろん全く言葉足らずなので読んでください。

そしてそれを踏まえてじゃあどうやって人を愛する技術を習得できるのか、という話になっていきます。

感想

この本が書かれたのが1956年、いまから約70年前です。そのため性についての医学的な解釈などが大きくことなるため結構いまの時代の感覚ではおかしくないか、ということがところどころ出てきます。ただこれは翻訳者あとがきにもあるとおり時代を踏まえてあえて内容を訂正したりせずそのまま書いているとのことです。なのでこういう面でおかしいと感じてもとりあえず読みすすめてください。いい本です。

そしてやはり愛することを技術的に捉えるというのが新鮮でいい。恋愛とかいうものを哲学的にちゃんと考えるとこうなるのか、という感覚になる。人を正しく好きになるとはこういうことだ、という説明は人が正しく生きる方法にもつながっている。かなり雑にまとめると客観的に生きろ、自立しろ、というのがフロムからのメッセージなのかなと思う。そしてそれができていない人々がこの世界には多いともフロムは言っている。

ただしこれには個人の問題だけでなく社会にもある程度要因はあるという。労働が金銭的な価値を持ち人が自分をもののように扱うようになってしまうという。なんとなく言いたいことはわかる。ただし少し悲しいのがそれが70年たった今でも変わっていないどころかむしろ悪くなっているということ。そしてこの本の中でではどういった社会にするべきなのかは明確に記述されていない。おそらくフロムもそこは悩んでいたのではないだろうか。